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2025.12.22

【Q&A】016 医療法人の理事社員持分者の地位と離婚

Q 私は医療法人Xの理事長兼社員、妻は副理事長兼社員です。出資持分は2分の1ずつを持っています。私は院長としてほぼ毎日診療所で働いていますが妻はほとんど診療所の経営に参加していません。もし私たちが離婚することとなった場合、私は一方的に妻に理事や社員からの辞任を求め、妻の持分も放棄してもらうことはできますか。

 

 

 

A

結論から申し上げますと、離婚を理由に、一方的に奥様の理事・社員の地位を剥奪し、出資持分を強制的に放棄させ、あるいは返還させることは、法律上極めて困難です。

法的な問題点と解決の方向性を整理します。

 

1.理事をやめさせるには(解任)

理事を解任するには、定款に基づき「社員総会」での決議が必要です。仮に社員総会での決議を経たとしても、 その理事が違法な行為を行ったなどの正当な理由がない場合、解任によって生じた損害を請求されるリスクがあります。

 

2.社員をやめさせるには(除名)

定款には社員を強制的にやめさせる「除名」という制度を採用している場合がありますが、除名は「法人の名誉を著しく毀損した」等の相応の事由が必要と考えられています。単なる夫婦の不仲や経営方針の相違では除名の適法性が裁判で争われるなどリスクが伴います。

 

3.出資持分を譲渡させるには

出資持分は個人の「財産権」であり、法律で強制的に取り上げることはできません。 唯一の方法は、「話し合いによる合意」です。適正な対価(譲渡代金)を提示し、納得してもらった上で譲渡契約を結ぶしかありません。また出資持分の適正な対価の算定も専門家に依頼して慎重に査定してもらう方が無難です。金額によっては、医療法人の経営を圧迫する可能性もあります。

解決への道筋

このように、医療法人の役員が離婚することになる場合、医療法人のガバナンス上、また財産権としての持分の清算手続の関係上、当事者間での慎重かつ丁寧な話し合いを継続する必要があり、またバランスの良い解決策を探るには法律、税務、経営の専門家の知恵が必要になります。

 

一方的な要求を突き付けたり、威圧的な交渉をする、対決姿勢を強めるなどといった態度では、当事者間の関係はよりこじれてしまい、また医療法人も機能不全(デッドロック)に陥り、患者様や地域医療、スタッフの勤務環境などに深刻な悪影響を与えてしまいます。

そうなる前にぜひ私たち海星事務所にご相談ください。